相模原ラグビースクール5年生のコーチがグランドで考えたこと
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5年担当 西 村  和 博
 相模原ラグビースクールの5年生は、対外試合を始めた3年の頃は負けてばかりで、指導方法について悩んだものです。
 指導目標はラグビー協会の手引き書などがありますが、現場に立つ指導員は、いかに子供たちに興味と向上心をもたせ、充実した練習にするかということに最も苦心するものと思います。
 ここでは、我々がそのことに対して考え、工夫したことを記載することとしました。
 拙文ですが、ご一読いただき、諸先輩方の更なるご指導、アドバイスなどいただければ幸いです。

1、 指導する際に感じた問題点。
1) 集中力がないこと。
 集中力は、試合のときばかりでなく、充実した練習内容とするためにも必要である。特に、基本プレーの反復練習などで、集中力が散漫になり「中だるみ」状態になることがよくある。
2) 指導の意図がイメージとして伝わらないこと。
 例えば、試合や練習で「姿勢を低く」などと言っても、子供たちは「ボク、姿勢を低くしているよ...」という顔をすることがよくある。
 
これは、コーチの指導する意図がイメージとして理解できていないためと思われるが、このような場合は、模範演技を見せても、なかなか理解されない。
3) 短い練習時間のなかで、ラグビーの面白さを体験させる難しさ。
 スクールの練習は、1週間に1回、2〜3時間程度で、高学年ともなれば、基本プレーの反復練習に時間を費やし、ミニゲームでも「教えたこと」ができているかをチェックすることが多くなる。
 
練習で「ラグビーの楽しさ」を感じる機会を作ることは、高学年になるにつれ難しくなると感じる。
2、 指導に際して工夫した点について。
1) 集中力をアップさせるための練習、説明の工夫について。
 練習中など、頭から「集中せよ」といっても無理があるので、例えば、順番待ちしているときでも常にボールを見ていなければならない時間帯や練習項目を設定する。時に叱ることにもなるが、叱られる理由が明確で無理のないものとなり、割とスムーズに習慣化できるようだ。
 また、なぜ集中力が大切であるかをわかりやすく説明する必要がある。
「A君と、B君が地面の上に転がるボールを取り合うとする。
 いくらB君の足が遅くても、ボールの動きをよく見て、A君より1秒でも早くボールに働きかければ、足の速いA君に勝つチャンスはいくらでもあるよ。
 こんなケースは試合でもよくあるだろう。」というように噛み砕いて説明すると良いようだ。
2、  2) 指導の意味をイメージで伝えるため、ビデオを利用すること。
 子供たちは、ラグビーの予備知識も少なく、自分自身の試合やプレーは見ていないので、コーチの意図と子供たちのイメージにギャップがあり、指導に手間取る場合がある。
 我々のクラスでは時々ミーティングでビデオを見せるようにしている。
 
一流プレーヤーの試合を見るだけでは「退屈」なばかりであるが、ビデオにとられた自分たちの試合やプレーを、実際に見て、それを一流プレーヤーのものと比較することなどすれば、イメージのギャップが少なくなり、スムーズにラグビーに対する理解度を上げることができるようだ。
3) 楽しいラグビーのための「課外授業」のすすめ。
 我々のクラスでは、いつしか、土曜日に子供たちどうしで声をかけて、公園で遊ぶようになった。
 そこでは、遊びの合間に簡単なラグビーの練習をするが、この時は、コーチが引っ張るスクールの練習と異なり、「サインプレー」とか、「ラインアウトのスローイング」など、子供たちが、いろんな試合を見て興味をもったプレーを練習する。
 
コーチは簡単なアドバイスしかしない。
 そのうちに子供たちだけで、「今度の試合、アレやってみよう」とか話し合ったりして、「自分たちで考え、工夫する楽しさ」を感じているようである。あくまで自発的な活動だが、こんな方法もあると思い紹介する次第である。

 我々の主な工夫は以上であるが、成果については、それなりにあったと考えています。確かに、秋季リーグ戦の結果も良かったですが、それ以上に、「生き生きとした」プレーを見ることが多くなったことを実感しています。今年は6年生になります。ご指導いただく県やスクールの指導員、一緒に悩み考えてくれるコーチ仲間、応援してくれる父母の方々に感謝しつつ充実した最終学年になるよう頑張りたいと思います。