厚木市立戸室小学校体育授業「タグラグビー」実施報告
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理 事  岡 部  仁
  厚木市立戸室小学校においてタグラグビー教室が選ばれ、講師派遣を要請されました。
 
以下のように実施いたしましたので報告いたします。
厚木市立戸室小学校 体育授業「タグラグビー」実施報告書
1. 日 程 平成16年11月30日〜12月14日
回数 月日 授業時間 時間 クラス 人数 内容
第1回目 11月30日 1校時 8:50〜9:35 学年合同 115名 全体オリエンテーション
第2回目 12月 2日 2校時 9:40〜10:25 1クラス 35名
3校時 10:45〜11:30 1クラス 35名
4校時 11:35〜12:20 1クラス 35名
第3回目 12月10日 2校時 9:40〜10:25 1クラス 35名
3校時 10:45〜11:30 1クラス 35名
4校時 11:35〜12:20 1クラス 35名
第4回目 12月14日 1校時 8:50〜9:35 学年合同 115名 試合
2校時 9:40〜10:25
2. 会 場 厚木市立戸室小学校グランド
3. 参加者 厚木市立戸室小学校 3年生 児童、教師
参加者 児童 115名、 教師3名
4. 派遣講師 厚木市ラグビーフットボール協会 理事 岡部 仁、吉田 成幸、加藤 博章、田代 均、田川 進
厚木少年ラグビースクール コーチ 大瀧 徹也
5. 経過
事前打ち合わせ
1. タグに求めるもの
 現在の体育授業での球技は、サッカーやソフトボール、ドッチボールなど既存のクラブなどがあるため、優劣がはっきりしており、参加している児童に差が生じている。
 そのため、全員が楽しんでいない。そこで、体育指導書の中のタグラグビーはおもしろそうだと思い、試したところ。5・6年生全員が息を切らし、疲れた。と言う感想を示した。
 これだ!と思い、それでは、我々も含め一度来てもらい教わろうと思い要請をした。
2. 児童の経験
今回の学年は全員経験無し。
3. 用具の数量
 今回のこともあるので、40セットとボール8個 (前回試したときのタグのボールではないゴム製ラグビーボール10個)
<授業内容>
<1回目>11月30日(火)指導者:岡部・吉田・田代
1. ラグビーの基本的精神の紹介
(1) all for one one for all の意味
(2) no side の精神
<小学生の反応>
(1)については、運動会のテーマだということで、 「知ってる。」という声まであがり意味を理解していた。
(2)については、はじめて聞いたようです。
2. 伝言ゲーム
(6〜7人のチームリーダーと他の子供の意思伝達を促すこと、簡単なルールを覚えてもらうことを考慮し行った。)
「伝言のことば」
(1) ノッコンは、ボールを前に落とすこと。
(2) スローフォワードは、ボールを前に投げること。
以上2つを伝言として、各グループにどれだけ早く正確に伝えられるかを競った。
<小学生の反応>
 必死になって、言葉を覚え、1番になると両手を挙げて喜ぶリアクションも見られた。
 また、1回目より2回目の伝達の時間が早い結果が出たのは、子供達の必死さの表れと思われる。
 最後のチームは、指導者がその場所に行き、伝言内容を全員で声がそろうまで、言わせた。
3. ボール運びレース(右左上下)
(1) 各チームのリーダを前に出し、みんなの前でデモを行う。
(2) 各チームに戻り、リーダーを中心に5分間の練習。
(3) 全員の意思統一のため、全員が声を合わせ行うことを指導した。
(4) 練習の後、往路・復路で競争した。
<小学生の反応>
 練習の時には、小さかった声も、競争となると必死に声を出す状態が見られ、往路と復路の1位のチームが異なった結果が見られたことも良い成果の表れと思われる。
4. タグの装着指導
(1) 全員を対象、説明
(2) 各リーダをよび、タグを配る
(3) 全員がタグをつけた
<小学生の反応>
 装着の早いチームもあれば、後で過不足を申し出るチームもあり。時間のロスが目立った。残り10分では、装着は出来なかった。全員が装着し終わっるのに要した時間は15分かかる。
「反省点」
タグ装着のロスについて
タグの装着に時間がかかることを想定していたので、事前に、7人分を1セットにしておいたが、実際にそれを、スムーズに行えなかった。
学校側のタグの仕分けがされてなったことも遅れる原因になった。
(事前に伝えておくべきだった。)
中には、ベルトのサイズが大きいものがあり、交換する場合も発生した。
競技内容を考慮して、各チームの間隔を広くしたため、両端のチームの説明の時の注目度が低下した。
<対策>
先生方と一番ロスの多い装着時間を短縮するため、2回目以降の授業では、すでに装着して授業に望むことを確認した。
<課題>
広い場所で、100人以上を対象に説明をする場合、どうやって子供に注目してもらうか。
「先生方の反応」
ボール運びの時に、大きな声が出ており、子供達の反応  としては良いと思う。
<2回目>12月9日(木) 指導者:岡部・吉田
1クラス単位(約35名)の授業3コマ
目標...ボールを持って、相手を抜く動作の修得
(1) 1対1のアタックデフェンス。(指導者がデフェンス)
注意事項:
デフェンスのプレッシャーに対して、後ずさりをしないこと。
相手を抜くために、左右のスペースを見て一気に走り抜けること。
(2) 1対1のアタックデフェンス。(子供同士)
(3) 2対1のアタックデフェンス。(子供同士)
アタック2人にして、タグを取られてからつなぐ意識 を持たせるようにした。
(4) うまくできなかった人は、どうすれば良いか、来週までの課題とした。
「感想」
 ボールを持って走り、相手を抜く行為は子供達にとって、気持ち良く、楽しいという感覚をあたえることが出来たようです。
 授業後、生徒と一緒に給食をいただきましたが、「ここに座って」「ここに来て」のアピールがすごく、今まで味わったことのない、人気ぶりでした。
<3回目>12月10日(金)指導者:田川・岡部・吉田
1クラス単位(約35名)の授業3コマ
目標:前に出て、タグを取られた後、パスをつなぎ継続する
(アタック・デモ)
パスをする次の人のスペースを考え、走るコースを見せた。
生徒にイメージを与え、1つの目標となることを期待し次の3つのパターンを行った。
パターン1:右に走り、左のスペースを作り、タグを取られたら、左の人にパス。
パターン2:パターン1の逆
パターン3:右から大きく左に走り、タグを取られたところで、次の人がクロスで入り、その人にパス。
(1) 前回の復習2対1のアタックデフェンス。(子供同士)
(2) 2対2のアタックデフェンス。(子供同士)
(3) 試合形式(5対5)の5分マッチ
「感想」
 練習のときよりも、試合形式の方が、つなぐ意識があった。
 これは、5人の相手を1人で抜くのは無理であることがゲームを通し、自然に生徒が体感し、学習できたことである。
大きな収穫である。
 また、味方をうまく使おうという意識が次回に気づいてくれれば、今回の授業の大きな成果といえる。
 しかし、生徒達は回を追うごとに非常にうまくなっていることは、私達にとって何よりうれしい。
2回目・3回目に「ボールを持ったら、まず前に出て相手を抜きされ」と声をかけ、うまくできたら思いっきり褒める。
 そのことが、生徒の励みになっている。
 また、生徒自身もうまくいった時の快感。褒められたときの喜び。を共有できるうれしさで、我々と生徒に信頼関係が生まれてきています。
 今日も、給食タイムは楽しい時間となりました。
<4回目>12月14日(火)最終日の報告 岡部・吉田・加藤・田代・大瀧
<内容>
学年全体(3クラス)で試合(8:50〜10:30)
(1) グラウンドに3コートを設置。(8:30〜8:40)
(2) 各リーダを中心に、タグ装着と準備運動(8:50〜9:10)
(3) 各クラスごとに、コートに分かれ5チームが5分マッチの試合を行う。各クラス5試合(全15試合)を消化。
(レフリーは派遣指導者が行う)(9:20〜10:10)
各担任の先生方には、アシスト数・トライ数・得点を、事前に用意した記録用紙に記録してもらう。
(4) 1廻りしたところで、5分間の作戦タイムを実施。
その間に、各試合の記録をチェック。
全体にチームとして機能していないことが見えたこと、時間の経過等を考慮し、指導者チームとの模範試合を提案。記録を参考に各クラスの代表チーム(1チーム)を選抜。
(5) 指導者チームと各クラスの代表チームとのチャレンジ・マッチを、残る全チームの前で3試合を実施。(各5分)
(10:15〜10:30)
レフリーは2人の先生が行う。
<感想>
試合において、走るのが得意な生徒がどうしてもボールをもち走ることが多くなりがちではあるが、その中でも女子がボールを持ち活躍する場面も多くあったのは、大きな成果といえるでしょう。また、チームとして全体が機能するまでには、今後の課題として、期待したいと思います。
 専門的に指導をしているチームでも、なかなかチームとして機能するかどうかは、難しいものです。
 その解決策として、次の点が大事な要因と考えます。
(1) 模範的な動きをするチームを観察し、生徒が動きのイメージをもつこと。
(2) その動きを真似て、やってみること。
(3) うまくいかない問題点を、生徒が自分自身で考え、解決していくこと。

以上の点で、今回指導する中、どのようにして生徒にチームとしての全体像が与えられるか。が今後の課題です。
 この課題を少しでも補えればと、指導者チームと各クラス代表チームとのチャレンジマッチを試みました。この試合で、2つのチームが全員で力を合わせ、つないでトライを取れたことが、大きな財産として、今後の授業に反映されることに期待したいと思います。
 また、代表になれなかったチームが、自分たちを代表するチームに、大きな声で声援を送っていたことが、我々指導者の印象に残りました。

 最後に、参加した指導者を代表し、このような貴重な体験と機会を与えてもらった戸室小学校の先生方、及び関係者皆様方に深く感謝致します。