麻生ラグビースクールの目的は「次代を背負う若者づくり」
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校長 吉 村  秀 清
 川崎市の北部、麻生区に本ラグビースクールが産声を上げて今年で25年になります。
 わずか3名から始まった生徒の数も今では100名を越えるまでとなり、川崎市麻生地区では評判の良いクラブチームとして評価を頂いております。4年前からは小学校の部を卒業する子供たちの熱烈な要望から中学部を立ち上げましたが、グランド等の問題もあって近隣のラグビースクールである田園ラグビースクール、グリーンラグビースクールと合同でチームをつくり「神奈川DAGS」という名称で活動をしています。
 このチームも50名を越える生徒数となりこれからが楽しみなチームです。

 さて、麻生ラグビースクールは、表題にもありますように、ラグビーを通じて子供たちを健全に育成しようという目的で「次代を背負う若者づくり」という考えでスクールを運営しています。
 スポーツ関係のクラブはややもすると勝利至上主義になりがちですが、これでは一部の体力的に勝っている子供たちにとっては良いのでしょうが、普通の子供たち、あるいは体力的に劣っている子供たちにとっては好ましいことではありません。
 私たちは多くのいろいろな子供にラグビーを楽しんでもらえるよう、またラグビーを好きになってもらえるように配慮し指導しています。ですから、試合に勝つことは、「目標」にはしていますが、「目的」ではないという考えに立っております。
 勿論、ラグビーは試合ですから勝つことは大切ですし、子供たちも勝つと大喜びし更に意欲は高まってきます。
 そのために精一杯の練習と努力することの大切さを教えながら、コーチ陣も毎週毎週真剣に指導をしています。そして、こうしたことが実を結び勝利につながると、子供たち、親、コーチはみんな感動を体験するのです。
 実利主義の社会にあってこうした活動の中で「感動」を味わえるということは実に素晴らしいことですし、それは何物にも換えがたい体験です。最近、卒業生が時々グランドに顔を見せてくれるようになりましたが、その当時の事を振り返って「あの頃は、厳しかったですよね」とか「〇〇コーチに真剣に怒られ、ホント怖かったです」と懐かしそうに語ってくれますが、彼等の心の隅には「麻生ラグビースクールでやってきて良かった」という気持ちが少なからずあるようです。

 こう書くと実に模範的なラグビースクールのようにお感じになることでしょうが、なかなか勝てないとやはり落ち込んでしましますし、悩みもします。

 それでもスクール活動に熱心なのは、みんなラグビーが好きであること、コーチ間のお付き合いが楽しいこと、そして何よりも子供たちの成長と共有する感動を味わえることがあるからでしょう。
 私自身も、昨年まで中学の部のチーフコーチをやっていましたが、なかなか私たちの指導についてこない子供がいまして、私はやってはいけないことをやった場合には相当きつく叱ってきましたし、めったにないのですが殴ったりすることもありました。そうした時は、私自身もあまり良い気分にはなれず、いつかは分かってくれるだろうと思う以外に無いのです。
 しかし、その子は卒業式が終わり、歓送会も終わった後、私のところに来まして、「コーチ、いろいろご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」と涙ながらに語ってくれました。
 私も涙を流しましたし、「あー、この子は少しは分かってくれたのだな」と本当に嬉しく思ったことでした。この一瞬を味わうことができただけでも、私の15年間のコーチ活動は無駄ではなかったと思った次第です。この子は高校に進学し花園出場を目指して一生懸命頑張っているようです。

 さて、子供たちを「叱る」ということですが、スクールの基本的方針としては「叱る事は止めよう。
 誉めて、子供たちに自信をつけさせよう」ということを基本としています。怒鳴ったり、子供の自尊心を傷つけるような指導は、結局は子供の成長を阻害するし、そうして育った子供たちは彼等が大人になったときに同じ事を繰り返すようになるという認識なのです。大人でも、会社で怒られたらあまり良い気持ちになりませんし、逆に誉められれば次はもう少し頑張ろうという気持ちになります。
 子供でも同じです。どんなに体力的に劣っている子でも、なにか優れたものを持っているものです。それを見出し子供に認識させることがコーチの大事な役目だと思います。「叱る」ということは、子供の「負の部分」に注目していることでもあります。
 子供の「プラスの部分」に着目し、そこを誉めることで子供は自信がつき、生き生きとしてきます。子供の成長にはいつも驚かされるばかりです。

 最後に、今年はもっともっと楽しいラグビースクールにを目標に取り組むつもりです。子供たちは勿論、父兄も、コーチも週末が待ちどおしいような雰囲気づくりを目指しますので、宜しくお願い致します。